アマプラ配信で何から見ればいい？藤本タツキ『17-26』短編8本のテーマと見どころ解説

1. なぜ「何から見るか」が重要なのか

『17-26』は藤本タツキが17歳から26歳の間に描いた短編作品をまとめたオムニバスアニメです。
作品ごとにテーマも作風もまったく異なり、どの順番で観るかによって印象が変わるという特徴を持っています。

特に初めて藤本作品に触れる人は、入りやすいエピソードから観ることで、作家の世界観を自然に掴むことができます。

2. おすすめ視聴順と理由

以下は、作品の内容・トーン・テーマを考慮したおすすめの視聴順です。
“物語としての流れ”を感じながら観ることで、藤本タツキの成長過程が見えてきます。

1. 『庭には二羽ニワトリがいた。』 – 作品世界の入り口として最適
2. 『恋は盲目』 – 恋愛×SFで軽やかに
3. 『佐々木くんが銃弾止めた』 – 若さと衝動を感じる
4. 『シカク』 – ダークで疾走感のある展開
5. 『人魚ラプソディ』 – 美しい映像と音楽が魅力
6. 『目が覚めたら女の子になっていた病』 – ジェンダーをテーマに深みのある作品
7. 『予言のナユタ』 – 運命と再生の物語
8. 『妹の姉』 – 姉妹愛と芸術への情熱で締めくくる

3. 各話のテーマと見どころ解説

3-1. 『庭には二羽ニワトリがいた。』

テーマ： 終末、孤独、生きる意味

見どころ： 絶望的な世界観の中で「生命」を象徴するニワトリを通して人間の希望を描く。
アニメでは温かみのある色調が強調され、藤本らしい静かな狂気と優しさが共存しています。

3-2. 『恋は盲目』

テーマ： 恋と現実、幻想、衝動

見どころ： 日常の中にSF的要素を混ぜた短編。恋という感情が“狂気”と紙一重であることを描きます。
ラストシーンの余韻は、藤本タツキ作品の中でも印象深いもののひとつです。

3-3. 『佐々木くんが銃弾止めた』

テーマ： 青春、衝動、暴力

見どころ： タイトルの通り、現実離れした設定を真剣に描くことで生まれる“痛みと熱量”。
若き藤本の勢いをそのまま閉じ込めた1本です。

3-4. 『シカク』

テーマ： 愛と狂気、破壊、本能

見どころ： 少女殺し屋の異常な愛を描く衝撃作。色彩設計が独特で、観る者の心をざわつかせます。
藤本作品らしい「愛の形の歪さ」が最も際立つ1話です。

3-5. 『人魚ラプソディ』

テーマ： 音楽、幻想、純粋な愛

見どころ： 音楽と海という幻想的な要素が融合し、アニメ化によって映像美が際立ちます。
静寂と旋律のコントラストが美しい中盤の癒やし的作品です。

3-6. 『目が覚めたら女の子になっていた病』

テーマ： アイデンティティ、性、自己認識

見どころ： ショッキングな設定ながら、根底にあるのは「他者と自分をどう受け入れるか」という普遍的テーマ。
哲学的かつ現代的な一話として話題を呼びました。

3-7. 『予言のナユタ』

テーマ： 運命、再生、喪失

見どころ： シリーズ中でもっとも重厚なストーリー構成。壮大なテーマと静かな演出が融合し、観終わった後の余韻が長く残ります。

3-8. 『妹の姉』

テーマ： 芸術、姉妹、成長

見どころ： 芸術を通じて姉妹が向き合う姿を描いた感動作。
“絵を描く”という行為が、藤本タツキ自身の創作の原点にも重なります。

4. まとめ：どの順番でも楽しめるが「流れ」で観ると深く刺さる

『藤本タツキ 17-26』は、単なる短編の寄せ集めではなく、作家の10年間の成長記録です。
一気見するのも良いですが、1日1話ずつ順に観ることで作品ごとの個性と進化をより深く味わえます。

まずは『庭には二羽ニワトリがいた。』からスタートし、最後に『妹の姉』で締める流れがもっともおすすめです。
観終わる頃には、藤本タツキという作家がどう世界を見てきたのかが、きっと見えてくるでしょう。