「匿名の恋人たち」脚本・演出の秘密|日韓スタッフが描く繊細な恋愛心理

恋愛・ラブコメ

2025年10月16日より Netflix にて配信開始となったドラマ 匿名の恋人たち。この作品は、日・韓両国のクリエイター陣がタッグを組んだ“ハイブリッド”な制作体制で注目を集めています。

脚本は韓国の実力派 キム・ジヒョン、演出は日本の映画・ドラマで高く評価されてきた 月川翔 が担当。さらにプロダクション・デザインには韓国の美術監督 イ・ハジュン を迎えるなど、国境を越えた“恋愛ドラマづくり”が貫かれています。

本記事では、「なぜこの作品の“恋愛心理の描き方”がこれほど繊細に響くのか」を、脚本・演出・制作スタッフという観点から掘り下げます。日韓スタッフがどのように役割を分担し、融合させたのか、その“秘密”を探ってみましょう。

この記事を読むとわかること

  • 日韓スタッフが融合した恋愛ドラマ制作の舞台裏
  • 脚本・演出が生む繊細な心理描写の手法
  • 国際共同制作がもたらすドラマ表現の未来像
  1. 1.まず結論:脚本と演出のハイブリッドが生んだ“細やかな恋愛描写”
    1. 1‑1. 日韓スタッフがそれぞれ補完する役割
    2. 1‑2. “繊細な心理描写”にこだわった脚本・演出の方向性
  2. 2.脚本:キム・ジヒョンが描く「内面に潜む恋愛のモヤモヤ」
    1. 2‑1. キム・ジヒョンのこれまでの作風と、本作に活きた要素
    2. 2‑2. 日本語・韓国語の言語壁を越えた“感情翻訳”の工夫
  3. 3.演出・プロダクション・デザイン:月川翔×イ・ハジュンによる視覚・空間の演出力
    1. 3‑1. 月川翔が選んだ“間”と“空気感”の演出
    2. 3‑2. イ・ハジュンが担当した空間デザイン・色味・質感のこだわり
  4. 4.日韓制作体制:国際共同制作だからこそ出せた“共感の質”
    1. 4‑1. 制作会社・スタッフの国境を超えたコラボレーション
    2. 4‑2. 世界配信を見据えた“超越文化”としての恋愛表現
  5. 5.脚本・演出の秘密がもたらす“観る側の体験”
    1. 5‑1. 「触れられない」「視線を向けられない」など、心理的障壁の象徴表現
    2. 5‑2. 視聴後に残る“リアルでありながらファンタジー的な余地”
  6. 6.今後に向けて:この制作方式がもたらす日本・韓国ドラマの未来
    1. 6‑1. 日韓ハイブリッド作品の可能性と課題
    2. 6‑2. 視聴者としてどう味わえばいいか(鑑賞の視点)
  7. 7.まとめ:「匿名の恋人たち」が提示する脚本・演出の新しいかたち

1.まず結論:脚本と演出のハイブリッドが生んだ“細やかな恋愛描写”

この作品の核となる魅力は、日韓スタッフによる脚本と演出の融合にあります。

それぞれの国が持つドラマ表現の「強み」を活かし合い、繊細で多層的な恋愛心理を視聴者に届けています。

文化的感性の違いをむしろ作品の深みとして活かしている点が、これまでのラブストーリーとは一線を画しているのです。

1‑1. 日韓スタッフがそれぞれ補完する役割

本作では、韓国の脚本家キム・ジヒョンが恋愛における感情の複雑さ、特に“揺らぎ”や“ためらい”の表現を担当しています。

一方、日本の演出家・月川翔は、そうした脚本に込められた“余白”を、視線の動きや間(ま)の取り方によって映像に落とし込みました。

つまり、韓国のドラマが得意とする“内面の掘り下げ”と、日本の映像演出が持つ“空気感の描写”が、相互補完的に機能しているのです。

1‑2. “繊細な心理描写”にこだわった脚本・演出の方向性

このドラマでは、台詞や行動で説明するのではなく、視線の揺れ、手の動き、間の沈黙といった非言語的な演出で感情が表現されています。

例えば、登場人物が言葉を発しようとして口を閉じるシーンや、視線がすれ違う瞬間などに、言葉以上の感情が込められていることに気づくでしょう。

このような描写は、両国の制作陣が密に連携し、互いの表現スタイルを尊重し合ったからこそ成立しています。

「見せる恋」よりも「感じさせる恋」を描くというコンセプトが、全体を貫いているのです。

2.脚本:キム・ジヒョンが描く「内面に潜む恋愛のモヤモヤ」

このドラマにおける脚本の特徴は、“説明しすぎない恋愛”の描き方にあります。

キム・ジヒョンは、登場人物の心に浮かぶ曖昧な想いや矛盾した感情を、明確に言語化せずに漂わせるように描いています。

その結果、視聴者は言葉にならない“モヤモヤ”に共感し、あたかも自分自身の記憶を覗き込んでいるかのような感覚に包まれるのです。

2‑1. キム・ジヒョンのこれまでの作風と、本作に活きた要素

キム・ジヒョンは、これまでにも韓国国内で“感情の機微を繊細に描く脚本家”として知られてきました。

代表作では、誰にも言えない感情すれ違う恋心をテーマに、視聴者の“心の奥”を静かに揺らすようなストーリー構成が高く評価されてきました。

本作においても、主人公たちの未整理な感情、沈黙のなかに込められた愛情が描かれており、その作風が存分に活かされています。

2‑2. 日本語・韓国語の言語壁を越えた“感情翻訳”の工夫

今回の脚本開発では、韓国語で書かれた初稿を、日本の制作陣が共同で解釈・翻案していくという過程が取られました。

ここで重要だったのは、単なる直訳では伝わらない“感情のニュアンス”をどう再現するかという点です。

たとえば、“미묘하다(微妙だ)”という韓国語は日本語の「微妙」とは異なる情緒を持ちます。

こうした表現を生かすため、両国のスタッフが脚本の読解を繰り返し、一つ一つの台詞の“温度”をすり合わせる作業が丁寧に行われたといいます。

このプロセスこそが、国境を超えても“心に届く恋愛”を描けた最大の要因のひとつです。

3.演出・プロダクション・デザイン:月川翔×イ・ハジュンによる視覚・空間の演出力

「匿名の恋人たち」が視聴者の感情に深く訴えかける理由のひとつに、映像そのものが“感情の装置”として機能している点が挙げられます。

脚本が描く内面の機微を、空間の静けさや光の柔らかさで“見せる”演出が、本作を特別な作品に押し上げています。

日本の月川翔と、韓国のイ・ハジュンというふたりの才能が交差したからこそ生まれた視覚的な恋愛心理が、確かにそこにあります。

3‑1. 月川翔が選んだ“間”と“空気感”の演出

月川翔の演出は、これまでも映画『君の膵臓をたべたい』などで知られるように、“間(ま)”の使い方に特徴があります。

本作でも、言葉のあとに訪れる沈黙や、誰もいない部屋の静けさを映すことで、キャラクターの心情を映像で語っています。

とくに印象的なのは、人物の背中越しに語られる感情や、窓越しに交わされる視線など、“直接的でない関係性”を描くことで恋愛の儚さを際立たせています。

3‑2. イ・ハジュンが担当した空間デザイン・色味・質感のこだわり

イ・ハジュンは『パラサイト 半地下の家族』の美術監督として世界的に注目された人物ですが、本作でもその手腕が遺憾なく発揮されています。

彼が描き出す空間は、登場人物の心理状態に連動するように構築されているのが特徴です。

たとえば、ある部屋では自然光を遮る薄いカーテンを使い、光と影のグラデーションによって感情の“曖昧さ”を表現しています。

また、家具の配置、壁の色、物の少なさに至るまで、すべてが「孤独」や「未練」といった感情を視覚化するためにデザインされているのです。

4.日韓制作体制:国際共同制作だからこそ出せた“共感の質”

「匿名の恋人たち」は、単なる技術協力にとどまらない“文化的コラボレーション”によって成り立っています。

制作段階から日韓のスタッフが共同で企画・撮影・編集を行い、互いの価値観や美意識に対するリスペクトをもって作り上げられました。

その結果、国籍を超えて“共感”できる恋愛ドラマが誕生したのです。

4‑1. 制作会社・スタッフの国境を超えたコラボレーション

本作の制作には、日本の制作会社「ROBOT」と、韓国の大手ドラマ制作会社「スタジオドラゴン」が共同で参加しています。

撮影監督、照明、録音、編集といった技術部門にも両国のスタッフが混在しており、現場では言語や文化の壁を超えた協働体制が築かれていました。

特に編集段階では、「テンポ」や「空気感」の感覚的な部分で意見交換がなされ、どちらの国の視聴者にも自然に感じられる“リズム”が追求されたと言います。

4‑2. 世界配信を見据えた“超越文化”としての恋愛表現

Netflixでの配信を前提とした本作では、“どの国の視聴者でも感情移入できる恋愛”が重要な目標の一つでした。

そこで日韓両国がそれぞれ持つ感性を掛け合わせることで、特定の文化圏に依存しない“普遍的な感情”の描写を目指しています。

たとえば、恋愛の初期に感じる「言い出せない想い」や「距離の測り方」といったテーマは、国境を超えて共通するもの。

こうした“文化を越えるリアリティ”こそが、本作が持つ最大の強みのひとつです。

5.脚本・演出の秘密がもたらす“観る側の体験”

「匿名の恋人たち」は、観終わった後に静かに心に残る“感情の余韻”が特徴です。

それは、派手な展開や過剰な感情表現ではなく、誰の心にも存在する“小さな引っかかり”を丁寧に描いた結果です。

脚本と演出が一体となって生み出すこの体験は、視聴者一人ひとりに異なる解釈や記憶を引き出す、まさに“内省的なドラマ”といえるでしょう。

5‑1. 「触れられない」「視線を向けられない」など、心理的障壁の象徴表現

本作には、物理的な距離以上に「心の距離感」を表す演出が随所に登場します。

たとえば、手が触れそうで触れない距離、言葉をかけたくても視線を合わせられない状況など。

こうした場面は、恋愛における「迷い」や「怖れ」といった心理的障壁を視覚的に象徴しており、視聴者は知らず知らずのうちにその感情に共鳴していきます。

5‑2. 視聴後に残る“リアルでありながらファンタジー的な余地”

興味深いのは、ドラマ全体が非常に現実的な描写で構成されているにもかかわらず、視聴後にはどこか幻想的な印象が残るという点です。

これは、具体的な“答え”を提示しない構成と、曖昧さを大切にした演出によって、視聴者の想像力に委ねる“余白”が生まれているからです。

恋愛という一見普遍的なテーマが、視聴者ごとに異なる“記憶”や“過去の体験”と結びつき、パーソナルな物語として心に刻まれていきます。

6.今後に向けて:この制作方式がもたらす日本・韓国ドラマの未来

「匿名の恋人たち」は、日韓共同制作がもたらす“新しい表現の可能性”を提示する作品となりました。

国境を越えた協業が単なる話題作りにとどまらず、内容面での深度や共感の質に影響を与えている点が評価されています。

今後、この形式が持続可能か、そしてどのように発展していくかが注目されるところです。

6‑1. 日韓ハイブリッド作品の可能性と課題

今回のような日韓ハイブリッド制作には、多様な視点が交差することで“感情の多層性”が自然に表現できるという利点があります。

しかし同時に、制作スタイルや撮影リズム、演技の方向性の違いなど、調整が必要な点も多く存在します。

本作の成功は、“文化の違い”を克服するのではなく、あえて“活かす”という姿勢が功を奏した好例と言えるでしょう。

6‑2. 視聴者としてどう味わえばいいか(鑑賞の視点)

この作品を観る上で意識したいのは、“展開を追う”のではなく“感情を味わう”という鑑賞姿勢です。

会話の間、視線、登場人物の沈黙、部屋の空気――そのひとつひとつが物語を語っていることに気づくことで、視聴体験の解像度は大きく変わります

今後こうした共同制作作品が増えていく中で、私たち視聴者にも“読み解く感性”が求められていくのかもしれません。

7.まとめ:「匿名の恋人たち」が提示する脚本・演出の新しいかたち

「匿名の恋人たち」は、国境を超えた共同制作が、恋愛ドラマにどれほど豊かな表現をもたらすかを示した作品です。

脚本と演出、そして制作のすべての工程において、“共鳴し合う感性”が丁寧に重ねられた結果、従来のどの国の作品とも異なる“新しい恋愛のかたち”が描かれました。

それは、視聴者にとっても心の奥に触れる、静かな感情の旅となったはずです。

本作が提示したように、脚本と演出の融合はもはや単なる“技術的連携”ではありません。

異なる文化を通じて、より普遍的で深い感情へと到達する手段へと進化しつつあるのです。

そしてその試みは、これからの国際共同制作の未来を照らすひとつのモデルケースとしても位置づけられるでしょう。

この記事のまとめ

  • Netflix配信の新作ドラマ「匿名の恋人たち」を特集
  • 日韓スタッフによる脚本と演出の融合が核心
  • 恋愛心理の“揺らぎ”や“沈黙”を丁寧に描写
  • キム・ジヒョン脚本×月川翔演出の相互補完
  • 視線・空間・間による非言語的な感情表現
  • イ・ハジュンの美術が内面を映す空間を演出
  • 言語を超えた“感情翻訳”で普遍的共感を実現
  • 国際共同制作が生んだ新しい恋愛ドラマの形

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