『ぼくたちん家』の脚本家・松本優紀とは？受賞歴とオリジナル脚本の魅力に迫る

2025年10月から日本テレビで放送中のドラマ『ぼくたちん家』。

その脚本を手がけるのが、今注目の若手脚本家・松本優紀です。

本記事では、松本優紀の受賞歴から見える才能、そして彼女が描くオリジナル脚本の魅力に迫ります。

松本優紀の脚本が光る！『ぼくたちん家』が描く“社会のすみっこ”の物語

ゲイの主人公と訳アリ中学生が織りなすホーム＆ラブコメディ

『ぼくたちん家』の物語の中心には、ゲイであることを公言している主人公・波多野玄一がいます。

彼は人との距離感を大切にしながらも、どこか孤独を抱えて生きている人物です。

そんな彼のもとに現れるのが、親を“買おう”とする15歳の少女・楠ほたるです。

ほたるは、訳ありの「3000万円」で、波多野に“父親役”を演じて欲しいと迫ります。

その設定はユーモラスでありながら、家族とは何か？人と人はどうやって繋がれるのか？という根源的な問いが込められています。

社会的に孤立した二人の出会いが、思いもよらぬ心の交流へと発展していく展開が魅力です。

この作品では、“笑い”と“涙”が絶妙に同居しています。

ゲイの主人公という設定はドラマでは珍しくなくなりつつありますが、偏見を打ち破るような自然な描写で、視聴者に違和感を与えません。

また、ほたるのキャラクターも単なる“問題児”ではなく、傷ついた少女としての繊細な心理描写が際立っています。

松本優紀の脚本は、この二人の関係性を軸に、日常の中にあるささやかな幸せや温もりを丁寧に描き出しています。

視聴者は、彼らのやりとりの中に、“本当の家族”に近い何かを感じ取ることができるでしょう。

まさにこの作品は、「家族未満」から始まる新しい絆の物語なのです。

3000万円で“親を買う”少女の奇想天外なプロット

『ぼくたちん家』の中でも、ひときわ強いインパクトを放っているのが、15歳の少女・ほたるが「親を買う」と宣言する衝撃のプロットです。

彼女は、母が横領した（訳あり？）3000万円という大金を使い、「理想の家族」を自ら作ろうと動き出します。

これは単なる風変わりな設定ではなく、家庭に恵まれなかったほたるの切実な願望が込められているのです。

視聴者が最初に感じるのは「なんて突拍子もない！」という驚きですが、物語が進むにつれて、その背後にある少女の孤独や痛みがじわじわと明かされていきます。

“お金で愛は買えるのか？”という一見現実離れしたテーマも、松本優紀の筆致によってリアルなドラマへと昇華されています。

奇抜な設定が単なるギャグに終わらず、人間ドラマとして深みを持っている点は、脚本家の力量を示すものです。

また、このプロットは現代社会のひずみをも映し出しています。

家庭崩壊、児童虐待、教育の格差――そうした問題の中で「親が欲しい」と本気で考える子どもがいても不思議ではない。

そこにフィクションとしての大胆さと、現実に根ざした切実さが同居している点こそが、『ぼくたちん家』の最大の魅力の一つなのです。

この少女の視点を通じて、“家族とは与えられるものではなく、選び取るものかもしれない”という問いが、私たちにも静かに投げかけられてきます。

奇想天外に見える設定の中に、現代の本質が詰め込まれているのです。

脚本家・松本優紀の経歴とは？香川出身から日テレ脚本賞まで

『ぼくたちん家』で鮮烈な脚本家デビューを果たした松本優紀。

その出身地は四国・香川県であり、地方出身の新しい才能として注目されています。

彼女のこれまでの歩みは、映像制作とストーリーテリングへの深い情熱に満ちています。

松本優紀は大学時代に映像学を学び、学生の頃から物語を「映像で語る」ことへの関心を強く持っていたといいます。

卒業後は広告・プロモーションを手がける会社に就職し、コンテンツの企画・編集などのクリエイティブな実務経験を積み重ねました。

こうした背景は、ドラマ脚本にも現れる“物語の構成力”や“見せ方の巧みさ”にしっかりと反映されています。

2023年、日本テレビ主催の第1回シナリオライターコンテストに応募し、『もう全部、おしまいじゃない。』という作品で審査員特別賞を受賞。

この受賞をきっかけに、松本は商業ドラマの世界へと本格的に歩みを進めることになります。

彼女の脚本には、新人らしからぬ完成度と、等身大の感性が同居しており、多くの審査員から高い評価を受けました。

このコンテストは、放送作家・脚本家志望者にとっては狭き門ですが、松本はその中でも個性と力量を際立たせてデビューを果たしました。

しかもその直後に、自身初の連続ドラマ『ぼくたちん家』の脚本を単独で手がけるという大抜擢。

“受賞からわずか2年で連ドラ脚本デビュー”というスピードは異例とも言えるでしょう。

脚本家としてはまだ駆け出しですが、彼女の経歴は、「物語を生み出す力」が確かな根拠に裏打ちされていることを証明しています。

今後の活躍がますます楽しみな存在です。

映像を学んだ大学時代と広告会社での経験

松本優紀は、大学時代に映像学部で学び、物語を映像でどう語るかという表現技術を身につけました。

この時期に脚本・編集・撮影といった工程を一通り経験したことが、後のドラマ脚本にも大きな影響を与えています。

感情の機微をビジュアルでどう表現するか、という視点は、彼女の作品の根底に流れる大きなテーマです。

卒業後、松本は広告・PRを中心としたコンテンツ制作会社に入社。

主にWebやSNS向けの企画やライティングを担当し、社会のトレンドを読み取りながら“伝える言葉”を磨いていきました。

この広告業界での経験が、ユーザーに届くメッセージ性の強い台詞や、テンポの良い展開づくりに活かされているのです。

広告やプロモーションの現場では、限られた尺の中でいかに人の心を動かすかが問われます。

松本優紀が描くセリフの“間”や“省略”には、そうした経験から生まれたコンパクトで的確な表現力が感じられます。

映像と言葉の両面から人を動かす技術を培ってきたことが、彼女の脚本に自然な形で現れているのです。

こうして、大学での専門的な映像教育と、広告会社での実践的な経験という２つのバックボーンが、松本優紀ならではのストーリーテリングを支えています。

これは“新人脚本家”という枠には収まりきらない、すでに確立された表現者としての片鱗と言えるでしょう。

日テレシナリオライターコンテストで審査員特別賞受賞

松本優紀が脚本家として大きく注目されるきっかけとなったのが、2023年開催の第1回「日テレシナリオライターコンテスト」でした。

このコンテストは、日本テレビが未来のドラマ制作者を発掘する目的でスタートしたもので、全国から多数の応募が寄せられる非常に狭き門です。

その中で松本は、応募作『もう全部、おしまいじゃない。』で審査員特別賞を受賞しました。

この作品は、人間関係の断絶と再生をテーマにした繊細なストーリー構成が高く評価されました。

審査員たちは、「キャラクターの感情が細やかに描かれている」「読み手の心をつかむ力がある」とコメントしており、プロとしての可能性が非常に高いと評されたのです。

この受賞により、彼女は日本テレビの支援を受けながらドラマ制作の現場へと足を踏み入れることになります。

中でも特筆すべきなのは、受賞からわずか2年足らずで、連続ドラマの脚本を単独で担当する抜擢がなされたことです。

『ぼくたちん家』という話題作のオリジナル脚本を託されたことは、業界内での期待値の高さを物語っています。

コンテスト受賞が単なる実力の証明にとどまらず、実際のデビューへ直結した点でも、松本優紀は特異な存在だと言えるでしょう。

また、彼女のようにオリジナル脚本で評価される若手脚本家は少なく、その点においても松本の受賞は業界から注目されました。

『もう全部、おしまいじゃない。』という作品タイトルからもわかるように、再起や希望といった“底からの物語”を描くのが彼女の得意分野であることが伺えます。

この受賞歴が、のちの『ぼくたちん家』の脚本につながっていくのは、まさに必然とも言える流れだったのかもしれません。

完全オリジナル作品でデビュー！松本優紀の作家性に注目

脚本家・松本優紀の魅力が最も色濃く現れているのが、完全オリジナル脚本で挑んだ連続ドラマ『ぼくたちん家』です。

原作なしの企画で、しかも新人が脚本を単独で担当するというのは、極めて異例の抜擢と言えます。

それだけに、松本優紀の作家性や世界観がダイレクトに反映された作品として、大きな注目を集めています。

物語は、親のいない少女と、パートナーを失ったゲイの男性という“社会のすみっこ”に生きる者たちが、偶然出会い、“家族未満”の奇妙な共同生活を送るところから始まります。

彼らは最初こそ衝突を繰り返しますが、やがて少しずつ心を通わせ、「選び取る家族」という形を模索していきます。

この設定自体が、松本優紀の持つテーマ性＝“人と人とのつながりの再構築”を象徴しているのです。

また、『ぼくたちん家』にはいわゆる“悪役”が存在しません。

登場人物それぞれに事情があり、誰もが何かを抱えながらも必死に生きている。

そのリアルで優しいまなざしが、物語全体にあたたかいトーンを与えています。

とくに注目すべきは、松本のセリフの力です。

軽やかで自然、時にユーモラスな言葉のやりとりの中に、核心を突くような一言が差し込まれることで、視聴者の心に深く残ります。

笑って泣けるという王道の感情曲線を描きながらも、その奥に強いメッセージ性が感じられるのが、松本作品の大きな特徴です。

このように、オリジナル脚本ならではの自由度を最大限に活かしながら、社会的テーマと個人の心情をバランスよく融合させている点が、彼女の作家性の核と言えるでしょう。

『ぼくたちん家』は、まさにその代表作として、松本優紀という脚本家の名を一気に世に知らしめる存在になりました。

原作なしで挑む“ゼロからの物語”作り

『ぼくたちん家』の大きな特徴は、原作のない完全オリジナルドラマであるという点です。

マンガや小説などの既存作品を下敷きにせず、“ゼロの状態”から人物、舞台、物語を創り上げるというのは、想像以上に大きな挑戦です。

それをデビュー作で任された松本優紀は、まさに脚本家としてのポテンシャルを評価された存在だと言えるでしょう。

原作がないということは、視聴者にとってもまったく未知の世界に飛び込むことになります。

しかし『ぼくたちん家』では、最初からキャラクターが“そこに生きている”ようなリアルさがあります。

これは松本が、自身の身近にいる人々や、日々感じている社会の空気を題材にして物語を紡いでいるからこそ生まれるものです。

脚本の作り方としても、松本は「最初に“人物”から描き始める」スタイルを取っているようです。

どんな環境で育ち、何を恐れ、何を欲しているのか。

そうした背景を細かく設計することで、登場人物に“血が通ったリアリティ”が生まれ、それが視聴者の共感につながっています。

また、物語のテーマとして「家族」「孤独」「選択」といった普遍的だが奥深い題材を選んでいるのも、オリジナル作品ならではの強みです。

松本は既存の枠にとらわれず、“自分が本当に描きたい世界”を形にしています。

これにより、今の時代に生きる私たちに届くリアルなドラマが生まれているのです。

マイノリティ視点と温かい人間描写が魅力

松本優紀の脚本には、マイノリティの視点が自然に織り込まれています。

『ぼくたちん家』の主人公は、ゲイの男性・波多野玄一と、家族を持たない少女・楠ほたる。

どちらも社会の“中心”から外れた立場にいる人物です。

こうした登場人物を主人公に据えながらも、松本の描き方は決して特別扱いするのではなく、当たり前の存在として物語に溶け込ませているのが印象的です。

その視線の温かさは、視聴者に「違いを恐れず、理解しようとする姿勢の大切さ」を優しく伝えてくれます。

多様性を押しつけることなく、さりげなく受け入れる——それが松本優紀のスタイルなのです。

また、人間描写の丁寧さも特筆すべき点です。

キャラクターたちは決して“良い人”でも“悪い人”でもなく、不器用で、時に利己的で、でもどこか憎めない存在として描かれています。

その描写がとてもリアルで、視聴者が自分自身や身近な人を重ね合わせやすい構造になっているのです。

たとえば、こころ優しきゲイのおじさんである波多野は人生も恋も冷めきったクールなゲイの中学教師・作田索（手越祐也）に恋心を抱いたことをきっかけに、ほたると出会い、心の距離を少しずつ縮めていきます。

ほたるもまた、心の奥にある寂しさや怒りを、素直に表現できないまま日々を過ごしています。

そうした複雑な感情の揺らぎを、セリフや間の取り方で細やかに表現しているのが、松本優紀の脚本の真骨頂です。

松本は脚本について、「隣にいる人がモデルになっている」とインタビューで語っています。

自分と違う境遇の人でも、想像力をもって丁寧に描くことを大事にしている。

この姿勢が、視聴者の心を静かに揺さぶる物語を生み出しているのです。

松本優紀のこれからに注目！今後の活動や期待される作品とは

『ぼくたちん家』で脚本家デビューを果たした松本優紀は、今まさにキャリアのスタートラインに立ったばかりです。

しかし、その作風やテーマ選びにはすでに“松本らしさ”と呼べる個性が色濃く表れており、多くの関係者や視聴者から注目を集めています。

この先どのような物語を描いてくれるのか、大きな期待が寄せられているのです。

松本が得意とするのは、社会の周縁に生きる人々に光を当て、その中にある希望をすくい取るような物語です。

今後は、そうした視点を持ちながら、現代の新たなテーマに切り込む作品が期待されています。

たとえば、シングルマザーやLGBTQ+当事者、高齢者の孤独、教育格差といった現代社会の課題を、“ドラマ”としてリアルに届ける力が、彼女にはあります。

一方で、彼女の脚本には常にユーモアとやさしさが込められているのも特徴です。

暗くなりがちなテーマでも、笑いを交えながら人間の弱さや愛しさを描く手腕は、今後の作品でも多くの人の心をとらえるでしょう。

すでに業界内では、「次の連ドラや映画脚本も確実にくる」との声も挙がっています。

特に注目したいのは、松本優紀が“自分で企画した物語”を世に送り出していく姿です。

原作モノではなく、彼女自身の言葉と構想力によって立ち上がるドラマには、世の中を映す“鏡”のような力があるはずです。

脚本家としての“物語を生きる視点”がどこまで広がっていくのか、これからの数年は特に目が離せません。

商業連ドラでの鮮烈なデビュー

松本優紀は、2025年秋クールの日曜ドラマ『ぼくたちん家』で商業連続ドラマの脚本家としてデビューを果たしました。

しかも、これは原作なし・完全オリジナルの連ドラであり、新人脚本家には異例の大抜擢です。

ドラマ業界では、実績のある作家が連ドラを任されるケースが多い中、松本は新人にしてその信頼を獲得したのです。

この抜擢の背景には、2023年の日テレシナリオライターコンテストでの受賞と、審査員たちからの高い評価がありました。

しかし、それだけではありません。

松本自身の「描きたい世界」が、いまの時代に必要とされているということが大きな要因です。

実際に『ぼくたちん家』は、放送開始直後からSNSやレビューサイトで「物語に引き込まれる」「セリフがリアルで胸に刺さる」といった声が相次ぎました。

地味に見えても確かな“人間ドラマ”としての強度があり、視聴者をじわじわと惹きつけています。

デビュー作でこれだけの反響を生み出す脚本家は、決して多くありません。

松本のデビューは、“新人の域を超えた脚本家”の誕生として、多くの関係者の記憶に残るものとなったでしょう。

今後、彼女が次にどんな物語を手がけるのか、一作一作が“勝負作”として注目される存在になるのは間違いありません。

商業連ドラという舞台での第一歩は、すでに“成功”という評価にふさわしいスタートでした。

次作への期待と“松本らしさ”の進化

『ぼくたちん家』で鮮烈な脚本家デビューを果たした松本優紀。

彼女の描く物語には、人物の細かな心情や弱さに寄り添うリアリティがあります。

それは、まさに“松本らしさ”とも言える特徴であり、今後の作品にも深く影響を与えていくでしょう。

脚本家としての実績はまだ少ないものの、すでに「次回作への期待」が業界内外で高まっています。

視聴者もまた、彼女の紡ぐ“やさしい世界”を次にどこで感じられるのか、心待ちにしています。

社会性×エンタメ性という絶妙なバランスを武器に、松本が挑戦できる題材は無限に広がっています。

また、『ぼくたちん家』の成功によって、テレビドラマに限らず、映画・配信ドラマ・ドキュメンタリー風ドラマなどさまざまなメディアへの進出も期待されます。

特に現代では、オリジナル脚本が強く評価される傾向にあり、松本のような“ゼロから世界を作れる脚本家”の需要は確実に高まっています。

そのため、彼女の進化は今後の日本ドラマ界にとっても非常に重要な意味を持つはずです。

“松本らしさ”とは何か。

それは、声なき人々に耳を傾け、希望の物語に仕立てていく姿勢であり、また、“人生はやり直せる”という静かなメッセージを物語の芯に据える点です。

その姿勢が次の作品でどう表現され、どう進化していくのか——まさに今後の最大の注目ポイントです。

『ぼくたちん家』の脚本家・松本優紀とは？受賞歴とオリジナル脚本の魅力のまとめ

『ぼくたちん家』の脚本を手がけた松本優紀は、2023年の日テレシナリオライターコンテストで審査員特別賞を受賞した新進脚本家です。

香川県出身で映像を学び、広告業界での経験を経て脚本の世界へと飛び込んだ彼女は、デビュー作から完全オリジナルドラマという大役を任されました。

その脚本は、マイノリティの視点と人間への温かなまなざしに満ち、見る者の心にじんわりと響きます。

物語に登場するのは、ゲイの主人公や“親を買おうとする”少女など、社会の周縁で生きる人々。

松本は、彼らの孤独や葛藤を、決して過剰に dramatize することなく、静かに、しかし力強く描いています。

その筆致は、新人とは思えない成熟度を持ち、“これからの日本ドラマ”を担う脚本家としての期待を背負っています。

今後、彼女がどのような作品を生み出していくのか。

オリジナル脚本の可能性と、人間ドラマの新しい形を切り拓いていく存在として、松本優紀の名前はきっとさらに多くの場所で目にすることになるでしょう。

『ぼくたちん家』は、その第一歩であり、同時に彼女の作家性の核心を体現した代表作として、今後も語り継がれるかもしれません。